◎香りに鼻を向け感度高めて未来を探ろう。大切なものは目に見えない。                 印刷用表示 |テキストサイズ 小 |中 |大 |

万葉風24節気の香り


万葉の時代、歌人達は二十四節気(節気)の小寒から穀雨までの八気をそれぞれ三候に分け,各一候の風に花の名を冠した「二十四番花信風」といういわば季語集をまとめていました。


当サイトでは、「二十四番花信風」を拡げて一年の節気にあてはめ、かつ香りのあるものでまとめてみました。香りを楽しむ指針になれば幸いです。


香りの季語としてお楽しみ下さい


〜香りで知る季節〜をテーマに、香りのカレンダーとして作成しました。地域によっては、開花時期が異なる為、おおよその目安としてご利用下さい。

小寒 1月5日頃

臘梅・蝋梅

梅と名前がありますが、バラ科である梅とは関係がありません。梅よりもひと足も二足も早く開花し、初釜の茶事に彩りを添えます。香りは甘く、フルーティー、花弁は透明感があり不思議な印象です。

大寒 1月20日頃 ★★★

水 仙

凍てつく寒さのなかで果敢に香りを放つ姿に、冬の寒さもしばし忘れる真冬の女神のような花です。 繊細で力強い香りは冬の女王です。

立春 2月4日頃

キンカン

柑橘類の中でも最も小さいキンカンは、小粒ながら咽の調子を整える効用を備えています。ハチミツにつけ込んでおき、いざと言う時にお湯で割って飲むといいようです。 最近は、生のまま食べられるおいしいキンカンも出回っています。

雨水 2月19日頃

花見の起源は梅の香りを楽しんむことでした。夜の梅を楽しみに出かけるのも一考。寒いですが、独特の趣があります。

啓蟄 3月6日頃 ★★★

沈丁花

じんちょうげの花が咲くと春の花達の開花が始まります。春到来のサインです。

春分 3月21日頃

モクレン

桜のように、葉をつける前にりりしく、梢に小鳥が留まるように開花します。透明感のある香りは、新入生や新社会人のはなむけのようでもあります。

清明 4月5日頃

フジ

山や里を問わず公園の藤棚でも勢いを感じさせるように、開花します。香りが辺りに拡がっています。

穀雨 4月20日頃

コブシ

大の字状に開花します。農業暦では、コブシの開花が田植えの始まりのサインです。蕾は、コブシの形をしています。

立夏 5月5日頃

ショウブ

子供の節句には、欠かせなかった菖蒲。はち巻きにしてお風呂に入ったものです。

小満 5月21日頃

柑橘の花

大方の柑橘類は、5月中旬頃に開花します。みかん山の麓は夕方香りの天国化します。一度は体験してみたいものです。

芒種 6月6日頃

泰山木

直径30センチはある大きな花です。花びらでお酒が飲めるほどなので、大きな盃の木と呼ばた事からこの名前になったとか。高い位置で開花します。上を向いて探しましょう。

夏至 6月21日頃

車輪梅(シャリンバイ)

可憐な花ですが、道路沿いの生垣でもよく見かけます。甘い香りがそばを通ると漂ってくるのですぐに分かります。

小暑 7月7日頃 ★★★

クチナシ

深緑の葉と純白の花とのコントラストが曇り空でもくっきりと目立っています。糖分たっぷりな雰囲気の甘い香りは、梅雨の湿った気分をも晴らしてくれるようです。

大暑 7月23日頃

ハマユウ

本来は、海岸が自生地ですが、学校や公園でもしばしば発見できます。潮風に耐える逞しい強さと優美な花姿の微妙なバランスが美しいです。潮風を甘く中和してくれる海岸の香りソムリエかも。

立秋 8月7日頃

ねむの木

涼しくなる夕方から咲き始めます。庭や公園、河川敷、街路樹で発見できます。ブラシのような幻想的な花は、夏の夜の夢を香りにしたような香りを放しています。

処暑 8月23日頃

月下美人

字の如く、夜に開花します。植物園などでは、夜間特別開園してくれるところもあります。撮影:菊池忠一

白露 9月8日頃

早乙女花

別名「へくそかずら」ですが、とても可愛い花です。潰すとすこし○○な匂いを放ちますが。

秋分 9月23日頃

秋の七草の一つ、吉野葛でおなじみの薬効植物。花はとてもフルーティーないい香りがします。蔓の伸び方はすごい。

寒露 10月8日頃 ★★★

金木犀

秋一番の芳香を漂わせます。白い銀木犀は希少ですが、いっしょに植樹されている事もあるので、要チェック。山を越えて隣村まで香りが届いたとか伝説の多い植物です。

霜降 10月23日頃

製茶用の畑では、花を摘みますので、早めに見学させてもらうか、植物園などでチェック。杏仁豆腐のような美味しい香りです。

立冬 11月7日頃

桂の落葉

水気の多い、森や神社で神木となっている事も多いです。落葉した葉を揉んだりするととても美味しい香りがします。

小雪 11月22日頃

枇杷(びわ)

枇杷の葉療法が浸透していた頃?の樹木が各地で大きく成長しています。真冬に特に利用されていた葉の在りかを知らせるように、香りを放っています。薬効ありそうな、そして美味しそうな香りです。

大雪 12月7日頃

柊(ひいらぎ)

多くは、鬼よけに玄関先などに植樹されていました。古木になると葉のギザギザもとれます。小さな花は、しっかりと明確で甘く気品のある香りを漂わせています。

冬至 12月22日頃

柚(ゆず)

柚といえば、鍋料理や焼き魚ににかかせませんが、忘れてはいけないのが、冬至に入る柚子の湯です。血行促進効果、風邪予防になっていますが、なんといっても香りの心地よさは格別です。

【注】★★★代表的な四季の四大香(季節を感じとる欠かせない香り)

香りに包まれる感覚を楽しみに出かけましょう。目では見えない豊かさを得られるかも知れません。

【二十四番花信風】

(にじゅうしばんかしんふう)


「花信風」ともいい、花の咲くころに吹く風の意。二十四節気のうち、小寒から穀雨までの八気をそれぞれ三候に分け,各一候の風に花の名を冠したものです。 各節気を三候に分けるということは、ちょうど七十二候と重なります。


小寒:梅、山茶(つばき)、水仙
大寒:瑞香(じんちようげ)、蘭、山礬
立春:迎春(おうばい)、桜桃(ゆすら)、望春(こぶし)
雨水:菜、杏、李
啓蟄:桃、棣棠(やまぶき)、薔薇
春分:海棠、梨、木蘭
清明:桐、麦、柳
穀雨:牡丹、荼靡(どび)、楝(おうち)
各節気ごとの花を定めています。


(広辞苑より)
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新春から晩春までの花の季節に、一風吹く毎に香りが、季節を知らせたという奥ゆかしい時代の風流です。春に限らず、一年を通して、まだまだ香る風がありますので、新解釈として再編いたしました。