春を嗅ぐ (ハクモクレン)
春の白い花
3月、梅林へ行こう! 
梅は夜見るもの? 香りを聴くもの?
江戸時代、庶民は桜よりも梅の香を楽しんでいた。
梅といえば、梅干しかもしれませんが、今年は近場の梅園か、梅林へ香りを楽しみに出かけませんか? 好みの香りに出会えると、結構はまるかも。白系の花が香りが楽しみやすいです。
緑萼(りょくがく)
関西では、3月初頭には各地で梅の開花を楽しむ「梅祭り」が催されます。観梅はもちろんのこと、出店や、梅の植木市も同時に開催されるところも多くあります。
柚子の秘境を訪ねる
〜島根県益田市 美都町〜
秘境の柚子
島根県益田市から東へ、かつては秘境として人を寄せ付けない山間部に柚子畑が広がっています。5月の連休明けに開花し、11月に実ります。
美都町の柚子の出荷量は年間200㌧近く。25ヘクタールの農地で栽培されています。県内の和菓子店へ柚餅用、東京、大阪のレストランに出荷されています。出荷量では四国の各県や九州の大分や宮崎に比べ少ないものの、ゆったりとした傾斜地にのどかに栽培されているのが特徴。柚子に似合う最高のロケーションです。
早朝、凛とした芳香を放つ。ミツバチよりも早く出逢いたい。
美都町の山間部に柚子畑が点在しています。
美都温泉を中心に道路が広がっていますから、ドライブするとすぐに見つかるでしょう。家々の庭にもほとんど柚子が植えられています。春の開花が一番香りを楽しめますが、秋の収穫期も黄色い色がとてもきれいで見応えがあるでしょう。
たわわに木に実をつける様は壮観です。
春は香りを、秋には果実を5月上旬そろそろ開花
平地では稲作を、傾斜地は柚子栽培に適しているようで、段々畑の柚子畑や、田んぼの脇、山間部のわずかな傾斜地に植えられています。
花の香りは5月中旬
開花が早い時期は連休の最中、通年は連休のあとあたりに開花します。開花期間は約一週間ほどです。1日中香りを楽しめますが、朝日が昇る頃がフレッシュな香りを堪能できます。昼頃は太陽が強く香りの揮発が活発なので過朝夕に比べてほんの少し弱くなっていますが充分楽しめます。
車で近くを走行していると窓から香りを感じ取れます。
5月連休明けに開花
柚子畑では農家の方の挨拶と承諾を
柚子畑の感香は所有者に目的を告げてから楽しませて頂きましょう。農作業の邪魔をせず、繁忙期には立寄りを遠慮しましょう。
香りの楽しみは、傍目には不審者ぽくも見られがちなので、一言告げておくといいでしょう。
柑橘類は、花の香りが絶品。
5月の、開花時期には朝か夕暮れを狙って訪問すると強烈な香りの乱舞が楽しめます。あまりの香りに酔うかもしれません。心がすごいボリュームで平穏になってゆきます。日中も楽しめますが、朝か夕方以降は香りの量があふれんばかりなのでお勧めです。
五月の連休開けあたりの1週間くらいが嗅ぎ時です。美都温泉を中心に、周辺に柚子畑が点在しています。収穫期は、邪魔にならぬように注意して楽しみましょう。
11月頃から完熟
収穫用に低く選定された樹形が美しい
柚子は捨てるところがない果実
柚子の最盛期頃、冬至の柚子風呂を楽しみましょう。柚子の果皮の裏側白い綿上の繊維はお肌をすべすべにしてくれます。お風呂の中で角質を擦るとしっとりとします。
香りのお土産
薬味の柑橘類では、とても人気の柚子です。収穫直後の「ヌーボー柚子」を秋の収穫時期は、安いものなら1個数十円ほどで売店で購入でき事もあります。皮も実も楽しめるのでジャム作り、生搾りして柚子酢、お風呂に浮かべたり、薬味や余ればポン酢づくりなどして楽しめます。
秋は、柚子の収穫
柚子ヌーボーを楽しむ。
柑橘系薬味のキングとでも言えそうな柚子は、香りの楽しみ方も豊富です。
ジャムやジュース、サイダー、柚子味噌をはじめ、ゆべしや菓子類など豊富です。地元の道の駅や温泉の売店などで入手できるので、楽しみましょう。
柴犬のルーツ「石号」の故郷
日本の柴犬のルーツとされている「石号」の故郷が同町二川です。昭和11年に石州犬研究室の調査で明らかになり、美都温泉に石号の碑が建立されています。近くに石号記念館もありますので、柴犬愛犬家には楽しみが多いです。
柚子感香の後は、温泉で仕上げ
柚子の最盛期なら柚子風呂が楽しめます。
収穫時期は、毎週火曜日にゆず湯
美都町の中心に美都温泉があります。アルカリ単純泉で少し濁った透明泉で肌がぬるっとして、よく暖まります。島根県でも有数の人気の高い温泉で掛け流し33度の良泉です。柚子の収穫期には、例年毎週火曜日にはゆず湯が提供されます。 立派な露天風呂もあり景色を楽しみながらゆったりと過ごせます。施設も浴槽もとてもきれいに管理されています。傾斜地の柚子畑
近隣には、ペンションや、温泉宿があり静かな山間のひとときを楽しめます。
温泉横に道の駅があるので、情報週報に立ち寄るといいでしょう。柚子を使ったジュース「ゆずっこ」もおいしいです。
(記事中の写真は春に咲く花と、秋の実生の写真が掲載されています)
美都温泉
美都温泉 湯元館
島根県益田市美都町宇津川ロ630-3
TEL.0856-52-2100
FAX.0856-52-3668
定休日:毎週水曜日
美都温泉の売店で格安で売られている
道の駅サンエイト美都
道の駅に隣接して美都温泉があります。
レモン谷
瀬戸内レモンの島へ
〜広島県 生口(いくち)島瀬戸田〜
みかんに比べ栽培の歴史ま短く近代に栽培が始まったレモン。戦後西洋の豊かさの象徴として愛でられた存在。栽培が定着するまで幾多の苦難を乗り越えて根付いた国産レモン。
国内で栽培に成功したのは瀬戸内海沿岸と和歌山県。日本独自の品種改良のかいあって成功するも戦後のレモン輸入自由化の荒波で大半のレモン農家は転業を図らざるえなかった。レモン谷から大三島を望む
密かに無農薬自然栽培で苗木を引き継ぎ近年その品質に多くの一流料理人に認められるところとなり、一躍「瀬戸内レモン」のブランドとして脚光を浴び現在に至るドラマの果実です。そんな瀬戸内のレモンの代表格として出荷量も最もい多い広島県生口島に花の香りを求めを訪れました。
歴史あるレモン栽培の地自然栽培の畑なら花と実が同時に楽しめる
花の季節は5月中旬。温州や夏みかんなどの蜜柑類よりも若干遅い時期に開花します。花の香もさることながら無農薬レモンそのものは年中が収穫期です。枝に実った状態で1年ほどそのままで必要時にもぎ取り出荷するようです。なので花と実生を同時に見られるのも生口島の特徴。土産の生レモンや絶品レモンケーキ、ジェラート、レモン鍋など様々なレモングルメも揃っています。レモンの花びらは少しシャープな感じ
レモンとアートの島
生口島は、尾道の南側に位置する島。西の日光と呼ばれる浄土真宗の耕三寺の島。古来より各地から耕三寺参拝で賑わう島であり寺は国の有形文化財として美しい佇まいを残しています。昔は船での参拝で賑わっていましたが、現在では広島県尾道市〜愛媛県今治市を繋ぐしまなみ海道上にあり、車で手軽に行けるようになっています。
かつての賑い感のある港町
島で一番賑わっている港を振出しに楽しむのがいいです。港から耕三寺への参道はしおまち商店街と称し贅を尽くした旅館ホテルや昭和の面影を残す店が旅の楽しみを膨らませてくれます。世界第二位の長さを誇る斜張橋。手前が生口島
参道を抜けると観光案内所、レンタサイクル、耕三寺、平山郁夫美術館があります。瀬戸内はアートで有名ですが、岡山県と香川県で開催されている瀬戸内国際芸術祭を起点に瀬戸内海各地でアートを取り入れた展示や建築などが豊富です。生口島でも随所に屋外アートの展示がされているので探し歩くのも楽しいです。耕三寺
瀬戸田レモンと瀬戸内レモン
徳島県出身の米津玄師のLemonに歌われているように徳島のみならず四国各県でも栽培が行われています。瀬戸内地方の気象が柑橘栽培に適しているためです。「瀬戸田レモン」は生口島産で他の瀬戸内産は「瀬戸内レモン」と一般的に呼ばれています。菓子やドレッシングなどにもよく使われていますので表記をチェックすると楽しいです。
平山郁夫美術館
レモン谷
生口島のなかでも風光明媚なレモン谷と呼ばれている地区は、生口島と大三島をつなぐ世界有数の長さを誇る斜張橋の袂の傾斜農地辺りに広がっています。レモン谷
瀬戸内の名物でもある多島美を優美な橋を込みで楽しめるビューイングスポットでもあります。レモン畑の大半は島の南半分です。縦断道路もあるので効率よくポイントを探せます。できればレモン谷以外でも海とレモンの花の美しいポイントを探して楽しみましょう。
嗅ぎ時嗅ぎポイント
朝なら日の出とともに立ち込める絶品の新鮮なレモンの花の香りを堪能できます。夕暮れなら雰囲気たっぷりの大人な香りが楽しめるでしょう。もちろん昼間もシーズンには香りが充満しています。フェリーで生口島(瀬戸田港)に上陸する人なら高根島との海峡に差し掛かる手前からレモンの花の香りを感じ取れます。船の上での感香は格別でしょう。
サイクリング、ドライブでもアートも見ながら瀬戸田サンセットビーチ
車ならぜひ窓を全開にして島を探索してください。自転車なら島の南半分約12キロのコースで充分に堪能できます。オープンカーでの来訪なら格別。疲れたら島の北西部にあるロードサイドのジェラートショップがお勧めです。もちろんオーダーはレモンジェラート。
ジェラートショップ
花の香を堪能したらレモンジェラートと仕上げ
左生口島、右高根島
隣の高根島も蜜柑栽培
時間があれば橋でつながっている隣の高根島(こうね)はみかんの栽培が主なので、レモンの花の開花が遅いようならこの島で高根みかんの花の香りを楽しむといいでしょう。高根大橋かの眺めはお勧めです。ひょっとして平山郁夫の生家が見えるかも。
お土産も楽しい
お土産の種類も豊富
香りは持ち帰れませんが、お土産ならレモンの記憶を持ち帰れます。駅構内にも美味しいレモンケーキの店があったり、瀬戸田の観光案内所付近に瀬戸田の人気洋菓子店があります。耕三寺の門前にもあります。
ぜひ生のレモンもどうぞ。広島県のJAでは減農薬開花時期以降の農薬は使用していませんので県産の生レモンは皮ごと食べられます。
レモン農家さんは、レモンは実や果汁よりも皮をぜひ使ってくださいとのこと。果物店でもレモンレシピを教えてくれる店もあります。名物のレモン鍋にチャレンジしてみるのも楽しいです。
お土産屋さんのレモンのレシピがかわいい
生口島行の船が出る尾道駅前桟橋
尾道駅前 生口島瀬戸田港行のフェリー
瀬戸田観光案内所
瀬戸田観光案内所
広島県尾道市瀬戸田町沢200-5
☎0845-27-0051
9:00~17:00
生口島地図
生口島ガイドマップ
4月、5月は、藤の香りを嗅ぎに行こう!
山を彩る薄紫の艶姿
新緑に眩い垂れ藤
公園の藤棚が色づくシーズン到来。蔓性の藤は、他の樹木を支えに伸びて行きます。色も藤色の他、紅色、白、緋色など艶やか系の美しい色が特徴です。
公園や、植物園で楽しむのもいいですが、山間部へ出かけてると自然の迫力のある優美な藤に容易に出会えます。4月中頃から5月上旬にかけて開花します。
紫の雲とぞ見ゆる藤の花
いかなる宿のしるしなるらん 藤原公任
兵庫県 丹波篠山
遠めに見るとまさに、山に雲霞がかかっているように見える藤の花。
万葉の香り豊かな花と香りを楽しみに行きましょう。
山では遠目に桐と混同する事もありますから、公園で、事前に形や香りを確かめておくといいでしょう。
野趣あふれる春の香
自然の中の垂れ藤
山間部をドライブしているとこの時期なら容易に見つける事が出来ます。
春を彩る舞子さんの簪(かんざし)飾りの代表格。連なり垂れる藤の花は艶やかの一言につきます。
風に揺れる藤の花はなんとも風雅で美しいです。
京都宇治の平等院
万葉の香りに触れる・・・宇治の香り旅
各地の藤の名所があるので、春の晴れた日に出かけてみるのも春の楽しみです。
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「香りのネ、」サイトは、嗅覚を開き豊かな感性を育むことを応援しています。
香りを楽しむ「感香旅行」のすすめ、鼻を使った遊びや暮らしなど、嗅ぐ事に焦点を当てた提案を行っています。嗅感覚を開く事で、五感全体が活性化します。「香りのネ、」の「ネ」は、フランス語で「鼻」の意味です。花など香りと、それらを嗅ぐ方の鼻、両方をまとめた造語です。(運営:香りの環境研究所)
咽が渇いている時
どれを選びますか?
3つのコップには、無色透明の液体が入っています。
嗅覚無しで、安全性を推量る事は困難です。
無意識に、人は食品や環境の安全を嗅覚も全開でチェックしてます。
香りと嗅覚の関係
幼児期に豊富な「香りの原体験」を!
嗅感覚を育む機会を意識しましょう。
嗅覚体験は、バランス感性と受容能力を高め
生きる力を育みます。
特に、幼児期における生活基本臭や固有の暮し臭、自然界の香りとの出会いが、香りのボキャブラリーを豊富に蓄え、身体育成の礎となるでしょう。
音の名前(ドレミ)や、色の名前を覚えたように、香りの名前も覚え「絶対嗅覚」を養いましょう。加えて嗅覚刺激は、他の感覚器官の働きを活性化させます。情報収集の基軸となります。「鼻が利く」とは、感度がいい人の比喩で使われている事からも納得が行きます。
まずは公園で「香りの散歩」デビュー
深く知るなら「嗅覚教育」へ
どんな香りがするか嗅いでみよう
人工香料に出会う前に自然香の体験を!
香りに包まれに出かけませんか?
ハナニラ
見る観光にとあわせて、香りも感じる「感香」旅行のご案内。
香りのある時期は短いです、それだけに貴重な体験に加えて、感性を育むよりよい機会です。季節、場所毎に異なる香り体験が、日本では数多くの機会があります。
当「香りのネ、」サイトは「嗅ぐ」についての身体感覚をテーマに、嗅感覚の復権を提唱する香りの環境研究所のコンテンツです。
香りの散歩、感香旅行、日々香りに触れる楽しさ、あそび、嗅覚教育コンテンツなど公開しています。
主宰者:成瀬守弘 制作協力:Peppermint Studio