家族の介護アロマ
介護を受ける方より、介護する側のケアが大切
介護人の精神的負担を和らげ、介護対象者へのアロマテラピーによる様々な効用を期待できます。
自宅での介護や病院での付添介護(看護)、末期医療中などの現場でアロマテラピーは、とても有益な手段です。介護対象者はもちろん、介護をする人のケアがとても有意義です。
介護は、時に命を削る思いで追いつめられるケースがあります。そうでなくても、介護の厳しさは大変なものです。延々と続く中で精神的、肉体的、経済的にも負担が重くのしかかります。
単純に、余裕を持って介護に望めるケースは余り多くないと思います。そんな状況の中でアロマテラピーは、オアシスのような一時を感じる事が出来ます。
ビーワックスで作ったスキンケアクリーム。マッサージクリームとして活躍。
アロマテラピーの基本を学べば、簡単に取入れる事が出来るので誰でも導入する事が出来ます。アロマと言えば、マッサージのようなイメージが強いですが、要は香りを用いて精神的肉体的なリフレッシュを行う幅の広いものです。
介護で活用できるアロマテラピーとしては、ハンド&フットマッサージ、消臭、芳香発生、スキンケア、フェイスケア、介護対象者の精神とボディケアなどが効果大です。
特に勧めたいのが、フットケアです。手や上半身が、点滴や、排尿管などで塞がっていても、足は比較的自由に触れる事が出来ます。対象者の意識がなくても、足や手のマッサージを施せば、コミュニケーションをしているような感覚が起こります。実際、マッサージをする事で、対象者のバイタル(心拍・呼吸、血圧、体温)が向上する事が何度もありました。
消臭ミスト、足裏マッサージクリーム。ルームミスト等を病室に常備。
なによりも、会話が出来ない対象者との深い繋がりを感じる行為でもあります。
経験的に、最も役立ったのは消臭スプレーです。排泄のケア時の臭気を一掃してくれ、快適に介護作業ができる消臭スプレーは、なにか救世主にような存在でした。
この他にも、床擦れ、浮腫、血流促進、払拭、手術時の香りケア、ペインケアなど出番がたくさんあります。
介護アロマでの重要ポイントは、対象者ではなく介護をする側にあります。家族同士でマッサージをやりあったり、睡眠がとれない時のフットケア、フェイシャルケアなどはとても疲労を緩和します。
アロマではないですが、床づれ(褥瘡)を速攻治めた樹脂粉末(テペスコイテ)。
これら、アロマテラピーを病室や施設内で行う場合は、必ず施設の責任者や担当医、看護師に許諾を得てからするようにしましょう。使用を許諾してもらえない場合もあるからです。個室なら問題はないでしょうが、複数人の部屋の場合は、香りを発生する行為は慎むべきだと思います。
詳しい「介護アロマ」に関しては、今後詳しい内容で、別途書籍化して行きたいと思っておりますので、よろしく願います。
医療機関とのつきあい方
アロマコロジー的生活…1より
元気だった83才の父親が、突然の心筋梗塞で入院してかれこれ4ヶ月ほど経った。倒れた当初、心筋梗塞の悪化レベルで10段階の10というきわめて危険な状態で、医者からメキシコと山形の姉たちも即呼ぶように言われ、緊張状態が3カ月ほど続いた。手術前ささいな原因で、父はストレス性胃潰瘍も併発しバイパス手術の予定が遅れ、一層危険な状態が続き手術に向けての体力づくりも充分できないまま、転院、手術とあいなった。
術後、左脳梗塞を起こし右半身麻痺と言語と記憶障害を起こした。このような状態から言語は時折意味不明な言葉を発しながらも、4ヶ月目には車椅子を押しながらの歩行が若干できるようになり、一時の"腹くくり状態"からは想像もできないほどの回復を見せた。姉は当初から気功力で連日父に力を吹き込み、弟である筆者は得意分野の精油(エッセンシャルオイル)を使い、思いつく手法の全てを駆使しての看病をした。というより、本能的になにかしたいという、丁度、阪神大地震のときの心理状態にも似た意識だった。
結果として病院の対処に依存する部分がほとんどであるにも関わらず、患者に24時間触れていた付き人の気のエネルギーも大きく関わったように受け取っている。アロマコロジー的生活を実践している常から、今回精油で施したマッサージオイルやスプレー、軟膏等を列挙してみます。(入院当初から時系列で)安静促進用にラベンダーとマジョラム、空気浄化にティートリー、レントゲンの影響を和らげるティートリー、手術中の緊張を和らげる為にラベンダー、術後の気付けにベルガモットとティートリー、感染予防用スプレーブレンド、床ずれ予防マッサージブレンド、感染症予防マッサージブレンド、食欲増進スプレー用ブレンド、痛み防止マッサージブレンド、おむつかぶれ用ブレンド、瞬間!便臭除去スプレーブレンド、病院臭除去スプレーブレンド、傷口再生促進オイルブレンド、水虫用にティートリー、全身のボディーケア用オイルブレンド、フットケア用オイルブレンド、頑固な角質除去用の精油軟膏等を始め、ヘアケア用各種オイルブレンド、ハーブティーや、強壮キョウニン粉末剤など。このほかに患者とは別に、付き人家族用にフットバス用オイル&ハーブブレンド、血圧下降マッサージブレンド、リウマチ用マッサージオイルブレンド、各種マッサージブレンドなど。
以上の中から毎日アロマテラピーのマッサージやトリートメントを行った。結果、香りには興味のない父がすっかり気に入り、戦争で出来た超頑固な足の裏のプラッスチック状態だったタコや魚の目が、今ではもうすっかりなくなり肌のきめもとてもよくなった。足の裏は特に念を入れて手入れを施したのでとてもきれいになった。このほか、緊急・救急入院患者の家族控え室でも、他の家族にハンドマッサージを行うなどすっかり、病院のアロマ兄ちゃんになってしまった。病室には医師からの許可を得て、BOSE(ボーズ)のステレオシステムを入れ、ささやかなか音で義兄から届いた数十枚のクラシックと環境音楽を状態に合わせて微音量で随時かけたのも患者のみならず看護人にも喜ばれたようだった。今回の看護の後半期の看護コンセプトは「楽しい看護」とし、なるべく話しかける、触る、何か見せる、聞かせる、嗅がせるなど看護する時は五感で患者に接することがいいような気がすごくした。成瀬守弘(1999年11月)
(Mindbody Fitness情報誌執筆原稿)