何種類「香りの名前」を言えますか?
色の名前や、ドレミの音は知っているのに
香りの名前や香りの表現は苦手な人が多い
香りのボキャブラリーを増やす
視聴覚教育の時代から五感覚教育への時代へ
欧米の知育教育重視から体験教育重視へのシフトからも、脳の育み方も近年大きく変わってきました。大脳をともすると知識データベース化する前者の教育方法から、「知識」は検索スキルで圧倒的な量を得る方向へ変わってきました。この事は、IT社会がクラウド化して行く様と合致していて興味深いです。
脳は詰め込んで使うのではなく、フレキシブルに感じとる感度のよい受信機として活用する時代へと進んでいるとも考えられます。
最近の子供や新社会人は、応用問題が苦手とか、指示がなければなにも進められない「デジタル指向」と言われていますが、受験指向の教育指向の中では「合格」ありきの教育では、無理のない事かも知れません。
考える力やクリエイティビティ、応用力、しいては個性を育むには、個々の「感じる力」の育み方や環境が最も欠かせない要素です。柔軟な脳を育むには、幼児期、そして児童期における感性の振幅幅を拡げる事が重要です。
感じなければ始まらない
感じる身体づくり
幼児〜児童期に、香りの原体験が感覚を育む
核家族化以降、加齢臭がクローズアップされてきた。
幼児期に高齢者との同居による加齢臭との出会いがあれば、加齢臭は受容できるもの(経験臭:ボキャブラリー)ですが、幼児期の形成される嗅覚データベースにない、やや悪臭系の臭気に対しては受容拒否する傾向にあります。
偏食も同様な理由から起こることもなんとなく、理解できそうです。
感じる力を養い、豊かな感性を育む。
幼児期に豊富な「香りの原体験」を!
嗅感覚を育む機会を意識しましょう。
嗅覚体験は、バランス感性と受容能力を高め
生きる力を育みます。
特に、幼児期における生活基本臭や固有の暮し臭、自然界の香りとの出会いが、香りのボキャブラリーを豊富に蓄え、身体育成の礎となるでしょう。
音の名前(ドレミ)や、色の名前を覚えたように、香りの名前も覚え「絶対嗅覚」を養いましょう。加えて嗅覚刺激は、他の感覚器官の働きを活性化させます。情報収集の基軸となります。「鼻が利く」とは、感度がいいと言うことです。
幼児が人工香料に触れる前に
自然の香りに触れるようにしましょう
現代社会は、天然の香りに触れる前に多くの人工の香料に触れる機会が多いです。
朝一番に、体験する歯磨き時にミントやフルーツの人工香料の歯磨きペーストやソープに触れたりする前にぜひ、天然の香りを体験できる機会を作りましょう。
感覚が育まれる幼児期にはぜひ本物のハーブ類や生花、フルーツに触れる機会をたっぷり設けることで嗅感覚のベースが出来ます。
本物のミントに出合う前に、ミントの歯磨きペーストを体験すると、ミント臭の歯磨きペースト飲み込まないように言われた子どもの脳には、「ミント臭のするものは、飲んではいけない」と学習されます。次に、天然ミントに出会っても「歯磨きペーストの香り」と認識します。
CDよりも生音に触れることで、音の豊かな世界を身体全体で感じることができるように、嗅覚も同じです。嗅覚の原体験が自然の香りで絶対嗅覚を築くことで、人工香料も豊かに感じ取ることが出来るのです。
生の音や、人工香料の含まれていない食物、映像ではなく生の体験を通して五感のバランスのよい成長を促すことが大切です。豊かな経験を通して第六感(マインドサイト*:経験則に基づく中脳の素早い働き)が備わると言われています。
*Ronald A. Rensink Prof. ProUniversity of British Columbia
人工香料に出会う前に自然香の体験を!
嗅覚教育
嗅覚教育について
視覚教育、聴覚教育、味覚教育(食育等)などと同じように、嗅感覚の教育は人の生命維持に最も大切です。香りの原体験を幼児期に行う事は、身体感覚を養う上でもぜ伝えたいものです。
香りの植栽計画を導入
指導者向けセミナー。香りの絵の具あそび実習
エコロジーなカラダ作りは嗅覚
を敏感にすることから
「目で見て鼻で見よ」という日本の古いことわざがありますが、今ではほとんど使われていません。なぜなら現代の生活環境の多くは、ホ乳類であるヒトにとって五感を鈍らせる都市環境や文化や産業の視覚優先指向等により、本来敏感だった人間の感覚受信(認識)機能が弱まってきているからです。とりわけ嗅覚は原始的な感覚器官として意識下にも大変影響を与えることが実証されており、今まで重要視されていなかった嗅覚の大切さがようやく見直されてきています。香りとヒトの関係を認識し、嗅覚を敏感にすることで「感じる能力」を高め、これからの時代を生きて行く上でのポテンシャルの向上が大切なのです。
嗅覚を敏感にし、香りを生活にとりいれる
そのためには、五感のそれぞれの感覚をとぎすますこ事が大切です。五感の中でも嗅覚は、近年まであまり重要視されず、視覚や聴覚などが優先されていましたし、脳の研究でも嗅覚はずいぶん立ち後れていました。嗅覚が人間にとって無視できない存在であることが、最近活発に研究されています。香と人間との関係を理解し、香のかぎわけ能力を高めると同時に、香をさまざまなシーンで使いこなすことが、哺乳類である人間が本来もっている潜在能力を高めるものと考えています。
嗅覚は他の感覚器官よりも本能的
五感のなかでも嗅覚は、直接中枢神経に関わっており、匂いの種類によって無意識のうちに嫌悪したり、苛だったりまた、快感をおぼえたり、記憶が蘇ったりするなど、人の感情に大きく関わっています。これらの働きはいづれも嗅覚が脳に直結された動物的な感覚器官だからです。嗅覚は生命維持に必要なセンサーとして体に有害な匂いや安全な香りを無意識のうちに判断しているのです。腐ったミルクや卵の匂いを一度体験すれば一生その匂いの食品には再度手を出さなくなることからも分かって頂けるでしょう。
天然の力、アロマセラピー
アロマセラピーとは、アロマ(芳香)とセラピー(療法)の合成語です。天然芳香植物精油を用いて病気を直したり、気分を整える治療方法で注射や内服にたよる化学療法と大きく異なります。起源は古代文明つまりエジプト、ギリシャ、インドなどの民間療法にまで遡り紀元前3000年前のインドや2600年頃のエジプトにはアロマセラピーの原点である薬草の使用方法が記された書物が存在していました。19世紀初頭まで伝承された芳香療法も合成医薬品の出現で、一度は主流から外れて行きましたが、近年ヨーロッパで見直され、アロマセラピーを教育する大学や専門の機関が設立されるなど、その有用性と将来性に期待されています。
アロマセラピーの実際
森林浴はアロマセラピーの一種です。森の新鮮な空気を吸い込むことで清々しさを覚するのは、松やモミなどの針葉樹、樫、ユーカリなどの広葉樹から発散されるフィトンチッドと呼ばれる芳香性物質が、人の体にプラスの影響を与えたり、和ませたりするなど大脳皮質を活性化する作用があり、精神を安定させ、疲労の回復力や体の調整力を高めることが各種の実験でも実証されています。
●五感を育む5つのポイント
1.季節ごとに香りのする植物を探索したり、庭木に香る植物を植える。
2.食事は、旬の香りのする食材を用い、香りを楽しむ。香りの飲み物を作る。お茶を味わう。
3.身の回りの香りにこだわる。(①入浴剤や化粧品、シャンプーなどのケア用品は必ず香りを確かめてから買うようにする。②香水や、芳香剤、ポプリなどできれば自然香のものを選ぶ)人工的な香りは、幼児期にはなるべく避ける。
4.匂いや香りの名前を覚える(生活臭、芳香など。子どもには、生活基本臭の体験機会を与える)
5.鼻で遊ぶ(匂いゲーム:香道的な遊び)。香りの遊びを考える。香りの印象を言葉にして人に伝える。
五感のなかの
嗅覚の位置づけ
五感覚の働き
人が、生命を維持する為に必要な情報入手経路として、視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚があります。何れの情報も最終的には、大脳へとパルスで伝達され、処理後、神経回路を経て行動へ繋がります。
《感覚》
光(視覚)は、3原色の掛け合わせ
音(聴覚)は、音波の周波数(音の高さ)、音波の波形(音色)、音波の振幅(音の大きさ)、の3要素
味(味覚)は、甘い、酸っぱい、塩からい、苦い、辛い、旨いの6要素、濃度
香り(嗅覚)は香り350要素(40万種の香り)、濃度
皮膚感覚(触覚)は、触覚、温度覚、痛覚、圧覚の4要素
五感覚を総合的に解析して反応する感覚や「直感」は、五感覚と経験則、本能(蓄積したDNA情報)により身体の安全を常に図っています。
味覚と言われている感覚は、嗅覚との連動で成立しており「舌が肥えている」とは、正確には嗅覚が発達している(経験則が多い)と言う方が正しいように思えます。
これら、五感覚のうち、嗅覚だけが大脳の中枢に直結しています。他は視床下部を経由して処理器官へ繋がっている。そういう所からも、嗅覚の機能が生存維持に最も寄与している感覚器官ともいえるのではないでしょうか。