◎香りに鼻を向け感度高めて未来を探ろう。大切なものは目に見えない。                 印刷用表示 |テキストサイズ 小 |中 |大 |

「感覚がいい」という言葉は、生きる力が強いということ。
センスが良いという事は、おしゃれであるというよりも、生き抜く力に長けている事でもある。



嗅感度チェック

あなたの五感イケていますか?

近年、匂いがわからない、感じない、本来の香りと違って感じてしまうなどといった「嗅覚障害」を起こしている人が増えています。

鼻と口の近隣関係図

嗅感覚器は、特に朝夕敏感に匂いや香りに反応します。丁度、食事前の時間帯です。2度しか嗅感覚のピークがないのは、人類の長い歴史の中で、一日に3度の食事スタイルになったのは近代の事だからです。

食事は、命を守る上でとても注意が必要です。腐敗や、しっかりと調理出来ている、体が要求している食内容か、消化しやすい状態であるかなど、様々なチェックが必要です。

その為に、食物を口に入れる直前まで、また口に入れてからも、食品の状態や質を嗅覚で確かめる為に、口の上に鼻があるのです。

命に直結している、嗅覚をチェックして状態を把握しておきましょう。

家庭で出来る官能試験

まず鼻のコンディションを整えて、次のものを用意しましょう。できれば、複数の人数で同じテストをするとよりわかりやすいです。準備する人と、テストする人は別の方がいいでしょう。


準備するもの
・180mlのコップ5つ(紙コップは紙臭があるので不向きです)
・お醤油
・計量スプーンの一番小さいもの(1/4テースプーン)
・計量カップ

方法
・各コップに1〜5番までの番号を書きます。
・各コップに、醤油を一番小さい計量スプーンで醤油をそれぞれに注ぎます。
・次に、1のコップに水30ml加えます。
・2のコップには、水60ml加えます。
・3のコップには、水90ml加えます。
・4のコップには、水120ml加えます。
・5のコップには、水150ml加えます。

醤油の量は同じです。


テスト
・目を閉じて、1から順番に5番までのコップの香りを嗅ぎます。
・どのコップの香りまで認識出来たか確認します。


5まで全てのコップの香りを認識出来た人は、各コップに同量の水を加え希釈して望むといいでしょう。醤油ではなく、ジュースで行ってもいいです。


テストの結果の見方



テストの結果、他の人と較べたり、また日をおいた結果を比較すると、どの程度の嗅覚力があるか把握出来ます。

年齢や、性別毎に嗅覚の感度は異なり、経験則ですがほぼ10人に1人くらいの割合で、嗅覚が鋭い人(微妙な香りの嗅ぎ分けが出来る)もいます。

香りの嗅ぎ方 教室

嗅ぐテクニックを磨いて「聴ける鼻」を育てよう

鼻のコンディションを整える

普段、鼻は呼吸と同時に香りのチェックをしていますが、香り意識して嗅ぐ時は、一瞬、せいぜい3呼吸程度にします。

それでも、言葉で表現しにくいなと感じたらリセットしましょう。リセットの仕方は、数秒、間をおくか無臭の濡れティッシュを軽く鼻の前にかざして一呼吸します。もしくは、ハンカチか、なければ服の袖口に鼻をくっつけて鼻呼吸します。

瞬間に嗅ぐ

何度も嗅ぐと嗅覚疲労の働きで、香りが分からなくなります。

匂い紙で精油ブレンドを嗅ぐ調香師や、アロマオイルのブレンドを行う人は、専用の無臭の紙(匂い紙、スメリングスリップ、ムエット)に香料や精油をつけて何種類もの香りをチェックしています。その場合も、香りはほとんど一瞬嗅いで識別しています。

食事の成立は、嗅覚疲労の成せる技

目を閉じて鼻に集中する

集中して、奥深い香りを識別する場合は、嗅覚を優位にするために遮音し、目を閉じると一層感じる感度が高まります。香りを音を聞くような感覚で感じとれれば、一人前の嗅ぎ人です。



自然界の香りは時間帯によって、潮の満ち引きによっても影響を受けており、人の嗅感覚器もお昼前や、夕方に嗅感度が上がると言われています。実際には、早朝、日が昇る時や、深夜も感度はとても高いです。

日差しの強い日中は、香りの揮発成分の多くが瞬時に気化している為、感じにくくなっています。

香りを感じとる一番大切な事とは

騒音や、光り舞う視覚情報や音情報に満ちあふれた場所では、嗅覚情報は、劣勢になります。静かで、穏やかな場所で嗅覚に意識が向くような場所で嗅覚は冴えます。

早朝や、夕暮れ、静かな場所や時間帯、瞬間の静寂こそ香りを楽しむタイミングです。体全体を緩ませ、呼吸を調え、嗅ぎに行くと言うよりも、香りが体に入り込んでくるような心構えで、香りを迎えると、繊細で奥深い香りが心の琴線に触れることでしょう。

香りを嗅げると言う事は、体と心の平穏な一時かもしれません。

穏やかに、感覚を拡げ楽しんで下さい。

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香りの表現 教室

言葉に置き換える

香りを嗅いだら、印象をすばやく言葉に置き換えてみる。このことで、より深く香りの記憶が蓄積されて行きます。
香りとの出会いを手紙で綴る
様々な香りや匂いに出会い、人に伝えたいと思ってもなかなか適切な表現を見つけにくいものです。

音楽のように、ドレミという基本を知っていれば、再現する時の手がかりがありますが、香りに関しては、そういった感覚の教育がないため感じた印象を再現したり、香りの表現力(ボキャブラリー)が備わっていないので、嗅ぐ事が出来てもなかなかうまく表現するという事は難しいのです。

唯一、ワインソムリエの香りの評価術には特筆するものがあります。ソムリエは、ワインを香り、色、香り等で評価します。人に伝わるように、様々な香りの表現を身に付けるトレーニングを行っているのです。

専用の香りのトレーニング用具まであり、ワインの香りを、土の香り、花の香り、ハーブ類、動物臭など多くの嗅覚体験を通して嗅感覚を磨いています。

感じとる力をつける

馴れてくれば、ボキャブラリも備わってきますが、まずは「感じる力」をつける事が楽しみを増やす近道です。一人でも出来ますが、2人以上で行うとより効果的です。


1)まずは、朝起きて夜寝るまでの間に、どんな香りや匂いに出合っているのか、鼻を澄まして1日メモをとりましょう。


コーヒーの香りだったり、バターのとろける香り、海老フライ、お花、お茶、防虫材、排気ガス、果物屋さん等々、意識すればかなり多く気づくでしょう。

2)出合った香りの印象や何か似た香りなどを思い出し、言葉にしてみましょう。


難しければ、お花に限定してもいいでしょう。(バラでも何種類もありますから、「バラの香りがした」なんてのはNGです)

このあたりで、結構難しいなと感じるかも知れませんが、馴れない間は、花ならどれも同じように感じたりするものです。馴れてくると、次第に微妙な差を敏感に感じとれるようになって行くでしょう。

3)気に入った、香りに出合ったらメモと取ったりカレンダーに書込んでおきましょう。


記録する事で、香りと出合える時期やタイミングなど分かり、香りと接する機会が確実に増えてきます。

香りのバランスを考える

似た香りを探す


香りに出合った時の印象を、なにか似ているものに例えてみましょう。梅の花の中には、バナナの香りにそっくりだったり、グレープフルーツの香りに似た花など、似た者同士の香りは、案外多いのです。

香りの印象をメモる

香りの記憶を思い返す

人の顔を覚える時も、無意識のうちに似た顔の人を思い浮かべる事があるように、香りの印象は、似た香りのものを探す事も大切です。

香りを体で感じる

気持ちの反応を確かめる


香りに出合ったら、好きか嫌いかと、その香りを嗅いで、どんな気持ちになったのかも大切です。

香りの印象をダンスで表現する

安らいだのか、緊張したのか、なにか過去の事を思い出したのか、香りから受けるエネルギーをそのまま受け止め心と香りの会話を楽しみましょう。

これこそが、香りと人との本来の姿なのかも知れません。自分の知っている香りの記憶と、はじめて出合う香りだけど、なんだか懐かしかったり、妙な記憶がよみがえったりと、香りを受入れる事で、体全身が揺れ動く事もあるのです。

香りの印象を色で表現する

感じとった香りのメッセージを表現する

香りに出合ったら、どんな香りか口にしたり、言葉に置き換えたり、香りによって自分がどのように反応したのか、全部含めて楽しみましょう。

嗅ぐ事で感じる力が磨かれる

嗅覚は、一般的には24歳頃をピークにその後、感度が低下してゆくと言われていますが、日常的に香りに接する事で、感度は維持出来ます。

様々なシーンで、香りに楽しく触れ、香りのボキャブラリーを増やしましょう。香水の調香師は、近年若い人も増えてきましたが、元来、中高年以降に豊かな調香作品を多く残されています。嗅覚を磨くには年月がかかるという事です。

嗅げば嗅ぐほど、嗅覚のボキャブラリーも増え、感じやすいしなやかな感性が育まれます。感度が敏感に育む事で、豊かな人生をおくる礎にもなりますので、香りの出会いを大切に過ごしましょう。





においの表記

「臭う」と「匂う」の使い分け

2010年11月30日に内閣告示された、新しい「常用漢字表」では、29年ぶりに、見直しが行われました。新たに196字が常用漢字表に加わりました。

「匂」は追加漢字として「におう」という訓読みが認められました。
「臭」はすでに常用漢字ですが「シュウ」「くさい」という読みに加えて、「におう」という読みも追加されました。

同じ「におう」という読みを持つ2つの漢字は、意味で使い分ける必要が生じました。

「におい」の漢字選択の基準は、「臭い」は「くさい」や「不快な」なものに用い、新常用漢字「匂い」は「いい香り」のするものに使用するのが適切となりました。

鼻が利く時間帯と
サーカディアンリズムについて
347種の嗅覚受容体

●香り・匂いの種類

天然臭:花や樹木、森林、など自生もしくは栽培しているもの
風物臭:食品の調理加工時、昆布乾し、香りや、杉の伐採時の香り、火祭り、花火、野焼き、縁日、等の催事、など人の手が加わった風物詩的な香り
地域臭:工場や産業による臭気や香り(温泉地、海産物加工工場、菓子工場、清酒工場、菓子工場、薬品工場、加工工場、お寺など)産業や地域特性による風景化した地域特有の臭気および香気。
特殊臭:一概に限定できない香気、人工臭(温泉地区、道路の舗装線引き、ペンキ、化学工場等)

●香り・匂いの強さの度合い

直接臭:花や現物に鼻を殆どくっつけないと感じない香気
側近臭:そばに寄らなければ感じない香気。数m手前から感じる香気
環境臭:はなれていても感じる香気10m以上離れていても感じる、国や地域の香り
二次臭:一概に限定できない香気(葉を揉むと香る。燃やすと香る、乾燥臭、他)

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ワインテイスティング―ワインを感じとるために

ソムリエの嗅覚
トレーニング用香料の種類

ワインの香りと言っても、実に奥が広い

ソムリエが、ワインの風味を表現するのに豊かな香りのボキャブラリが求められる。

「白ワインの香りがする」とか、「赤ワインの香りのようだ」では、表現とは言えないし、ソムリエやワインエキスパートの仕事も勤まらない。

味の表現ボキャブラリよりも香りに関するボキャブラリの方が、圧倒的に多いのも見逃せない。

一般的なワインテスティングの表現のガイドになっている基本臭が数十種類もある


以下が、トレーニングに用いられる香りです。

ワイルドベリー・ストロベリー・プラム・ラズベリー・カシス・チェリー・ブラックベリー・ブラックペッパー・スミレ・アーモンド・ピーマン・ミント・パイナップル・洋ナシ・スグリ・アプリコット・蜂蜜・桃・バナナ・リンゴ・オレンジ・グレープフルーツ・イチジク・レモン・チョコレート・コーヒー・皮革・シダー・バター・キャラメル・トリュフ・マッシュルーム・スモーク・バニラ・甘草・タバコ・コルク・腐った卵・異常な熟成香・たまねぎ・乳酸・ラビジ(漢方薬臭)・酢・接着剤・馬の汗・硫黄・草・カリフラワー・バラ・イースト・ナツメグ・マジパン(アーモンド臭)・ユーカリ・レーズン・ライチ・メロン・ニワトコの花・マンゴー・ブルーベリー・ミラベル(杏に似たフルーツ臭) この他に、劣化したワイン臭などの匂い見本などもある。
(参考)Le Nez du Vin ワインの香りサンプルより

民族性による嗅感覚の相違


ソムリエのトレーニング用香料は、欧米における基準で制作されているように思います。実際、日本人や他の民族毎に、得意な香りのジャンルがあります。

日本には、柑橘系の樹種が多く暮らしの中にすっかり浸透しており、柑橘類の種毎の香りの識別能力が諸外国に較べて高いです。

併せて、醤油、みそをはじめ調味料の種類や、山や海に囲まれ季節が均等に存在する国ゆえに産物も豊富で、香りのボキャブラリの多さでは類を見ない存在です。

このように、香りの表現は、基礎となる嗅覚体験や世代を超えて伝えられる香りの記憶情報に基づいているのです。

本来、香りの体験が豊富であれば、トレーニングキットは不要ですが、それを補う為のこういった香料は、専門家の共通言語として機能しているのでしょう。

【嗅覚疲労とは】


香りは情報ですから、大脳が対象物(環境、食品等)を嗅感で識別した後(蓄積された香りのデータベースで検証し)摂取しても大丈夫という結論に達したら、その対象物を受容します。

逆に、体に悪影響を及ぼす結論に達したら(たとえば、食品腐敗や、ガス漏れ等)拒絶の信号を送ります。

信号を送ったら、即座に次の対象の安全を識別する行為に移ります。嗅いだ香りが、しばらくすると消えたかのように感じなくなる現象のことを「嗅覚疲労」と呼びます。
決して香りを嗅ぎ過ぎて、疲れてしまう事ではありません。

ヒトは、そのおかげで、幕の内弁当のような様々な食品を摂取する時にも、素早く香りの処理を行い、楽しく食事ができているのです。

これが、前の食品の香りが鼻に残っていたら香りが混ざり合いせっかくの調理も台無しになってしまうのです。

嗅覚の磨き方

嗅感覚は、感覚が敏感な幼年期に生活に必要な基礎的な香りや匂いの体験を通してボキャブラリーを築くことが望まれます。その後、香りや匂いに触れる機会の多さや印象に残る出会い方や、感覚器の個性によっても嗅感覚が磨かれます。

経験則で男性よりも女性の方が嗅覚に敏感なようです。また香りに触れる機会の多い人や、感性を使う仕事や、個性によって男性でも嗅感覚の優れた人も多くいます。相対的に20代の中ぐらいが最も嗅覚が冴える時期と言われています。

しかし、多くの調香師は歳を重ねるごとに香りのボキャブラリーを増やし、能力を高めているのも事実です。50代、60代の調香師も現役で働いています。

嗅覚は、磨けばどんどんと能力を高めます。視覚や、聴覚などに比べ感覚器を損傷しても回復しやすいのは嗅覚と言われており、感覚器の精緻さと生命を守る働きから頷けます。

大人の嗅覚の磨き方

子供は、多様な生活臭を早い段階で体験することが何より大切ですが、大人は嗅覚をいつまでも敏感にしておくためにも普段からのトレーニング?をしましょう。

最も容易く、お酒好きに人にとっては最も楽しいトレーニングが「ワイン」です。ソムリエにならなくてもワインには、多様な香りで構成されていますので奥が深く、トレーニングとともに新たな香りの発見の楽しみがあります。

香りを楽しむ中国茶の事典


ソムリエのトレーニング用ゲームキットやテイスティングのガイドブックなどを参考にすると楽しみやすいでしょう。

ワイン以外に、日本茶や中国茶も奥が深く、香りの楽しみはとても楽しいです。