香りで自然とコミュニケーション
香りコミュニケーションは、言葉を越える!?
どうして花は香るのでしょうかって聞くと、多くの人は「虫媒の為」つまり、香りによって虫を引き寄せ繁殖を図る為と。じゃ、人や動物に匂いがあるのは何故? 「へーっ、考えてみたことナーい」。「香りって一体何なんだろう」と考え始めてからずいぶん経ちましたが、まだまだ分からないことがたくさんあります。花の香りにいろいろな種類があるのは、それぞれ好みの虫がいて特定の花に集中しないようになっているのでしょうか? それとも、香りそのものに何かメッセージのようなものがあるのかも…。夜だけ香りが立つ「夜来香」や「月下美人」は、夜間活動する虫にアピールしているのでしょうか? それとも、昼間よりも夜の方が効率がいいからなんでしょうか? 虫にとっての香りは、花の存在をいち早く認識するためにとても都合のいい情報源なのです。花対虫だけでなく、植物同士も香りでコミュニケーションしています。ある植物が、虫に葉を食べられると、葉から特殊な成分を発生させ辺りの植物へ「噛まれるぞ」という香りの情報を流します。その香りを感知した仲間の植物は葉は、虫が不調になる成分を分泌し、防衛するのです。まるで、香りが情報となって行き来しているかのようです。つまり生物のコミュニケーションは、言葉だけでないのですね。では、人と植物の関係はどうなんでしょうか。
鼻は命にかかわる情報を常にチェック
特に、人の嗅覚(鼻)は、大脳の中でも本能を司るといわれている旧皮質(別名動物脳)に鼻からダイレクトにつながれて、人が生まれてから死ぬまで全く休むことなく匂いや香りの情報処理が行われています。視覚(目)は、就寝時に休みますが鼻は命を守るためにフルタイムで働いているのです。しかも人体に影響力を及ぼす食品の取り入れ口である「口」の上に位置する場所に鼻は存在し、口へ食べ物を入れるときにも、すかさずチェックを欠かさないのです。ある食品を食べてお腹をこわしたりすると、その匂いを覚えていて、次にその匂いを感じたときに拒絶するよう脳から命令が出るのです。腐ったミルクや豆腐などの匂いも生涯忘れることなく記憶され、ガスやキナ臭い異臭などを感じると夜中でも目覚めるよう鼻は起きて働いているのです。目や耳から入った情報などは、どんどん忘れるケースが多いようですが、鼻は命にかかわる重要な役割を担っているので「命の守り神」とも言えるのではないでしょうか。
香りは好き嫌いに関係なく大脳へ特定の刺激を与えます。
生物から「人」になる以前から進化の歴史のなかで、脳にはさまざまな香りの情報が記憶されています。個人的な香りの嗜好いわゆる「心理的な香りの嗜好」と、好き嫌いの判断ではなく拒絶するかしないかの判断をする「生理的な香りの認識」ができるようになるまでに、随分と歴史があるのです。そうした本能的な香りに対する反応の一定の法則がアロマテラピー(芳香療法)の基礎となっています。興奮する香りや、沈静、沈痛、消炎、強壮、抗毒、催淫、殺菌作用などまだまだありますが、それらに作用する香りは、個人的な嗜好とは別に大脳へ直接働きかて人体に影響を与えているのです。
アロマテラピーは植物とのコミュニケーション
最近話題のアロマテラピーは、長い歴史のなかで植物と人との関係の中で育まれた財産です。しかし近年、嗅覚障害児の増加や嗅覚力の低下など鼻が弱くなってきている傾向にあります。よく感覚の良い人のことを「あの人は嗅覚が鋭い」とか「鼻が利く」といった表現がありますが、鼻がいいと言うことは第六感や直感力が冴えているという意味も含んでいるようです。その背景には、生活環境の悪化や、自然の良い香りが少なくなってきたことも関係しているようです。植物の香りから良いエネルギーを受けるためにもインターフェース(橋渡し)でもある鼻を感度良くしておくことが大切です。幸い鼻は鍛えればどんどん良くなって行く感覚器官ですから今日からでも、良い鼻づくりを目指してみませんか。
季節ごとの香りに触れる
良い鼻づくりの基本は、なんといっても自然界の香りに触れることです。季節ごとにさまざまな香りを放つ植物がありますので、気をつけて探して見ませんか。これからの季節、みかんの花、はまなす、ラベンダー、菩提樹、泰山木、ゆり、きんぎょそう、すずらん、蘭、くちなし、月香美人、夜来香、りょうぶ、もっこく、ばらなど。花を目と鼻でみる香りの観光を「観香旅行」とでも言って体とハートに優しく働きかけるいい香りを楽しみながら、鼻を元気にしてあげましょう。好きな香りを探したり、お気に入りの季節の散歩道をつくるなど楽しみを広げて行きましょう。お返しに、植物をいたわってあげましょう。そうするで、香りに対する感度も益々高まり、やがては自然界の言葉がハートで聞き取れるようになれるかも知れませんね。
※注釈
アロマテラピー:香りの持つ心理作用を応用したもので、AROMA=ラテン語の「香り」とTHERAPY=「療法」という意味の単語の組み合わせで、香りの療法といわれています。古くは紀元前、古代エジプトあたりが発端で、その後ギリシャ、ローマへと伝わりました。ローマの大浴場では、香りの油(植物精油)マッサージ、つまり今で言うアロマテラピーマッサージがすでに行われていたようです。アロマセラピーは植物精油の芳香成分によって心身をリラックスさせたり、高揚させたりする精油と大脳の働きで肉体的にも精神的にも健康的な体を維持するのに使われています。欧米では医療行為として数々の優れた臨床結果が報告されています。日本では、医療の分野でまだ、認められておりませんので、使用する個々人の責任の基に、趣味として香りを楽しまれることをお勧めいたします。(1997年 正食協会コンパ21 楽天コラム掲載分)
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我が家のインテリアエクステリア
香りのインテリア
「できる男は鼻が利く」とか、先見の明がある人のことを「鼻がいい」なんていいますが、実際に動物の鼻あたりには微量の鉄分が含まれていて方向磁石にような働きがあります。五感のなかで本能に一番近いのが嗅覚。意識に係わらず人は鼻から様々な情報に反応しています。近年流行のアロマテラピーは、香りによって自律神経を整える作用を癒しに活用することで人気を呼んでいるようです。時の武将達が名香「蘭奢待」に群がったのもアロマテラピー効果で気を鎮めたのでしょう。上質の香りに身を任せ至福を堪能してみましょう。本能に触れる香りのマジックが運気を上げること請け合いです。その前に、悪臭の除去を忘れずに。タバコのヤニ、キッチン、トイレなど臭気の元をしっかり洗うことが先決。香りの演出は、音や光が控えめな方が効果大です。市販のアロマポット(陶器製の精油を電気か蝋燭で温めて揮発させる卓上用)か熱湯を入れた器に精油を数滴入れて20〜30分程度香りを揮発させます。和風で楽しむなら、お香を香炉で焚くのがお勧めです。見えない香りだけに器に凝ると楽しいです。来客時には、玄関の隅に精油を4〜5滴含ませた小石を置くか、香りの良い線香を来客前に焚いておき、残り香で迎えるなんて双方にとってとても気分がよいものです。大半の精油や線香などには鎮静効果の高いものが多くあり、そういう香りを吸うと呼吸も深くなりイライラが緩和します。目に見えないだけに、心に届きやすいのも香りの特性です。住まいを良質の香りでグレードアップしましょう。
香炉とお香、アロマポットと精油。目に見えない香りを視覚化する道具が気分を高めます。いずれも市販品。
香炉とお香、アロマポットと精油。目に見えない香りを視覚化する道具が気分を高めます。いずれも市販品。
季節の柑橘類も容器に入れて飾ると、香りが気分を鎮め空気をさわやかにしてくれる。
(解説)
「アロマテラピー」(芳香療法)
20世紀初頭にまとめられた植物精油を使った療法。精油(エッセンシャルオイル)を用いて、入浴時に湯船に入れたり、空中散布、マッサージなどに用いて健康管理や精神安定を図るものです。手始めにはヒーリング効果のあるラベンダー精油や、気合いの入るレモングラス精油などがお勧め。精油は、百貨店、アロマテラピーコーナーで市販されています。書籍等も多く出版されていますので使用前に一読をお勧めします。精油は控えめな使用がコツです。
「蘭奢待(らんじゃたい)」
日本書紀に記載され、奈良東大寺正倉院に収蔵されている黄熟香の別称。足利義政、織田信長などの名将が権力の元に勅封された香を楽しんだ記録が残る。現代でも同様の沈香とよばれる香木は金よりも高価。鎮静効果が高く貴重。その香りは、体の底から力を漲らせる気品と静寂な空気感に満ちています。「蘭奢待」の文字に「東大寺」の3文字が隠されているのも何か匂ってきそうです。本年度の正倉院展では非公開ですが、数年に一度公開されています。
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看病は香りで楽しく。
アロマコロジー的生活…1
元気だった83才の父親が、突然の心筋梗塞で入院してかれこれ4ヶ月ほど経った。倒れた当初、心筋梗塞の悪化レベルで10段階の10というきわめて危険な状態で、医者からメキシコと山形の姉たちも即呼ぶように言われ、緊張状態が3カ月ほど続いた。手術前ささいな原因で、父はストレス性胃潰瘍も併発しバイパス手術の予定が遅れ、一層危険な状態が続き手術に向けての体力づくりも充分できないまま、転院、手術とあいなった。
術後、左脳梗塞を起こし右半身麻痺と言語と記憶障害を起こした。このような状態から言語は時折意味不明な言葉を発しながらも、4ヶ月目には車椅子を押しながらの歩行が若干できるようになり、一時の"腹くくり状態"からは想像もできないほどの回復を見せた。姉は当初から気功力で連日父に力を吹き込み、弟である筆者は得意分野の精油(エッセンシャルオイル)を使い、思いつく手法の全てを駆使しての看病をした。というより、本能的になにかしたいという、丁度、阪神大地震のときの心理状態にも似た意識だった。
結果として病院の対処に依存する部分がほとんどであるにも関わらず、患者に24時間触れていた付き人の気のエネルギーも大きく関わったように受け取っている。アロマコロジー的生活を実践している常から、今回精油で施したマッサージオイルやスプレー、軟膏等を列挙してみます。(入院当初から時系列で)安静促進用にラベンダーとマジョラム、空気浄化にティートリー、レントゲンの影響を和らげるティートリー、手術中の緊張を和らげる為にラベンダー、術後の気付けにベルガモットとティートリー、感染予防用スプレーブレンド、床ずれ予防マッサージブレンド、感染症予防マッサージブレンド、食欲増進スプレー用ブレンド、痛み防止マッサージブレンド、おむつかぶれ用ブレンド、瞬間!便臭除去スプレーブレンド、病院臭除去スプレーブレンド、傷口再生促進オイルブレンド、水虫用にティートリー、全身のボディーケア用オイルブレンド、フットケア用オイルブレンド、頑固な角質除去用の精油軟膏等を始め、ヘアケア用各種オイルブレンド、ハーブティーや、強壮キョウニン粉末剤など。このほかに患者とは別に、付き人家族用にフットバス用オイル&ハーブブレンド、血圧下降マッサージブレンド、リウマチ用マッサージオイルブレンド、各種マッサージブレンドなど。
以上の中から毎日アロマテラピーのマッサージやトリートメントを行った。結果、香りには興味のない父がすっかり気に入り、戦争で出来た超頑固な足の裏のプラッスチック状態だったタコや魚の目が、今ではもうすっかりなくなり肌のきめもとてもよくなった。足の裏は特に念を入れて手入れを施したのでとてもきれいになった。このほか、緊急・救急入院患者の家族控え室でも、他の家族にハンドマッサージを行うなどすっかり、病院のアロマ兄ちゃんになってしまった。病室には医師からの許可を得て、BOSE(ボーズ)のステレオシステムを入れ、ささやかなか音で義兄から届いた数十枚のクラシックと環境音楽を状態に合わせて微音量で随時かけたのも患者のみならず看護人にも喜ばれたようだった。今回の看護の後半期の看護コンセプトは「楽しい看護」とし、なるべく話しかける、触る、何か見せる、聞かせる、嗅がせるなど看護する時は五感で患者に接することがいいような気がすごくした。(1999年11月)
(Mindbody Fitness情報誌執筆原稿)
介護男子ブログ
花粉症にはケミカルフリーの代替療法で乗り切ろう。
アロマコロジー的生活…2
近年の花粉症は、年々ひどくなってきています。国の林業政策がおおきく関わっているようです。高度経済成長期に、成育が早くしかも需要の多い杉材を国策として全国の山林から広葉樹を伐採し、杉の生産を大いに促進した。多いに杉は成長したが、国外からの安価な杉材が市場を奪い国内産の杉は山に残るばかりで市場に出ない。いわゆる杉余りである。それから30年余り経った。杉が最も多く花粉を放つのが樹齢30年位だそうだ。これから全国の山林から杉花粉が年々増えて行くのである。おそろしい。同時に都会に住まう人々の免疫力の低下と相まって、これから毎春、「花粉症関連グッズ」が多くでまわりそうだ。但し、最近の花粉症グッズはちょっと気をつけた方がいい。先だっての新聞に「花粉症マスクに皮膚炎を起こす化学物質が!」という記事が掲載されていた。メーカーは、指定表示成分のみしか表示しなくてよい今の法律をかいくぐり、他にも様々アレルギーを引き起こす添加物質が市販の商品に混入されています。抗菌○○といった製品の多くにも農薬の一種でもある様々な化学薬品が使われていることは余り知られていない。ここは、やはりオーガニック&ナチュラル系ケミカルフリーの天然物の植物や精油をおおいに活用しよう。以下、アロマコロジー的花粉症対策を列挙いたします。活用してね。
・まったくなんにも使わず筋肉運動だけの天然目薬
花粉でやられた時に、1分間に15回位のリズムでまばたきを繰り返します。あまり顔に力を入れなくてもしばらくすると天然の目薬(別名なみだとも言う)がじわーっと出てきて花粉を洗い流してくれます。できれば朝晩ぬるま湯を20回と冷水を20回閉じた目にかけます。ほか、日中思いついたときに数分間小指の付け根が鼻の上部にあたるように両脇をしめて目の上に手を当てます。こうするだけで随分目のストレスが軽減されます。薬屋に走る前に自前の目薬と手当用の手をお使い下さい。(このほか冷やしたカモミールの浸剤をで目を洗うのもいいです)
・43度のお湯にユーカリやペパーミント、メリッサオイルを1滴落として湯気を吸入するといい
花粉症がひどい時でもお風呂上がりは、いたって気分爽快なものです。熱めのお湯(43度)が花粉症、鼻炎などの不快時にとてもいい気分になれます。
・マスクにペパーミントオイルを!
ミネラルウォーター50mlにペパーミントオイルやユーカリ、メリッサ、カモミールのいづれかを7〜10滴落とし良くシェイクしスプレーボトルかアトマイザーに入れ、外に出るときマスクに一吹きしておくと花粉をカットするのに役立ちます。精油は、個人差がありますのでいろいろ試してみて下さい。ブレンドしてもいいです。
・お茶を多く飲むと免疫力が付く
静岡県立大学の漢方薬研究で、お茶に含まれるグロブリンEが大変いい作用をする事を発見。無農薬のお茶ならたくさん飲んでも安心です。一度にたくさん飲まず回数を多くして飲むと胃腸にも影響を与えません。このほか、ウーロン茶、中国南部に自生する「甜(てん)茶」も有効。DNA食品もいいようです。
(Mindbody Fitness情報誌執筆原稿)
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人間関係に効くアロマテラピー。
アロマコロジー的生活…3
昨年の秋から始めたアロマテラピスト養成講座と香りのお稽古の第1期生を送り出しました。修了時にそれぞれの感想を述べていただいたなかで、予想外に嬉しい内容があったのでお話しします。そもそもアロマテラピーを学ばれる動機の中で多くを占めるのが「疲労を香りでとり除きたい」や「メンタルケアに香りの作用を使いたい」、「将来の職業」といった欲求を持っておられる方が大半です。そういった方が多いせいか、学んだことを自主的に活用され様々な方にハンドマッサージやフットマッサージなどを積極的に施されているので、アロマテラピーの知識がついたとか技術的な修得の喜び的感想が多いのかとしていたが、「アロマテラピーを学んだことで、家族が明るくなった」「職場の人間関係が良くなった」「何十年ぶりかで父親に触れ言葉も良く交わすようになった」などなど。意外にも人と人との潤滑剤としてアロマテラピーが生きていることで、予想をはるかに越える成果だった。
セルフケアの一種でセルフブラッシング法というのがあります。つまりブラシで体を撫でるのですが、動物の毛づくろいにも似た行為です。このブラッシングを行うと妙に気分が落ちつく、というよりも眠たくなってくるのです。でも、ほとんど日本では行われていません。
日本人と欧米人とではカップル同士での体に触れる時間も範囲も随分と少ないようです。よくテレビなどで諸外国の男女間や男性同士でも握手感覚で抱き合ったりしていますが、日本人が照れ性なせいなのか、頭を撫でられて怒る子供がいないように、パートナー同士が優しいスキンシップを行っているときに喧嘩しないように、スキンシップの気持ちよさはヒト科の生き物にとっては至極のひとときといえます。
長距離恋愛中のカップルが電話だけで(聴覚中心のコミュニケーション)長い時間おしゃべりしていても何か満足感が薄いとか、ささいなことで喧嘩になったりするケースが時折あるらしいのですが、それらはスキンシップによるボディコミュニケーションで(嗅覚、触覚コミュニケーション)ホルモンバランスを保つことが欠落している事が原因なのかも知れません。よく、離ればなれになるとハートも醒めてしまうといいますが、やはり哺乳類系は触れ合ってなんぼの関係が大切な気がします。
どうして日本ではスキンシップが軽視されているのかは別な機会にめぐらせてみたいとしますが、アロマテラピーが普及する背景にスキンシップの潜在的ニーズが表面化してきたのかも知れません。アロマテラピーという名の下に「ふれあう」と言うことが、今求められてるのかも知れません。生で触れるよりも媒体として精油(エッセンシャルオイル)を通して、ワンクッションのアレンジが効果を増す香りの療法に深い興味を覚えました。ぜひ、家庭でもしくは友人知人を相手に言葉を使わない触覚コミュニケーションに香りを添えて言葉を越えるコミュニケーションを図ってみてはいかがでしょうか。
(Mindbody Fitness情報誌執筆原稿)
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サラダオイルを持って山へ行こう
アロマコロジー的生活…4
年中で最も香りが立つのが「春」。5月の中旬から6月の中旬にかけてほとんど毎日曜、野山やハーブ園などにいました。山野草を摘んでの食事会に参加したり、野草摘みや、「癒し」をテーマにしたネイーチャートレイル・ウォークといったヒーリング体験と、植物の五感体験(観察、さわる、食べる、嗅ぐなど)のワークショップを開催したり、ハーブ園ツアーのガイド役をするなど春の香りをいっぱいに吸った時間を過ごしてきたので少し報告します。ネイーチャートレイル・ウォークは定員を大幅に超え30名程を引き連れての吉野杉の山林に入りました。季節柄、吉野杉の貯木場からの太陽をいっぱい受けた香りを風景にしながら、葱の仲間でもある「ノビル」を食べたり、木こりの水筒がわりの「すかんぽ」、酸味のある「スイバ」などを味わいながら、ひんやり涼しい杉林の中でのボディトークゲームの一種(山のエネルギーと人のエネルギーを一体化させて癒す)をしました。山のエネルギーと人のエネルギーを参加メンバーに還元するといったプログラムに喜びの声が上がりました。普段、山に入っても「わらび」や「ぜんまい」「たけのこ」といった、メジャープランツに目が行くケースが多いなか、今回はマイナープランツに目を向け、たんぽぽの葉を摘んでサラダにするなど盛りだくさんに春を食べました。ワークショップの最後には、自然界から人体へのエネルギーの入り口でもある足の裏をケアする「足の裏マッサージ用軟膏」づくりをして、地球のエネルギーとのインターフェース(足の裏)の活性化を図り、自然を感じたり、感じる能力を高めるプログラムに益々なアイデアをそそぎたくなる気分でした。一連の体験を通して変わったことは、野の植物を見ても「かわいいな」とか「きれいだな」という視覚的な捉え方から、「おいしそうだな」「香りがよさそう」といった味・嗅覚的な感覚で捉えるようになったことです。めぐらせてみれば、太古の人も植物を鑑賞用としではなく、食料として見ていたとします。実際にあまり陽に葉が焼かれていないたんぽぽの葉などは、柔らかくこしがあり、香りも春を満喫するのに充分。畑や八百屋の野菜が少しひよわに見えてくるから不思議でした。有機栽培や無農薬が取り沙汰されている昨今、たまにはラベルやプライスカードを見ながら(視覚的ショッピング)でなく、足と手と嗅覚を使った五感ショッピングで食料を調達するのも感覚がくすぐられて気持ちがいいものです。そんな日々を送っていると、なんと山へ行かなくても近所でも(大阪谷町六丁目界隈)いろいろ発見。はこべご飯に出来る「はこべ」をはじめ、「よもぎ」「なずな」「どくだみ」などを探し当てては、「なんや身土不二できるやんか」と犬のおしっこ肥料たっぷりの葉モノに手を出しかけて、ハートの中の都会っ子が思わず「やっぱり田舎ブランドじゃなっくちゃね」と手を引っ込めてしまいましたが、安心して採集できる場に住まいを移すべきかななんて、真剣に検討し始めるきっかけになったことは確かです。ハーブ園でもやはり説明しながらどんどん口にも入れてしまう状態で、見るだけのハーブ園なんてつまんない、できれば別入園料で口でも楽しめる「ハーブ試食園」なんてあると、ご飯だけ持参で、サラダは現地調達できていいなと思いました。この春の野外体験でよかった事は、植物を鑑賞用としてではなく食物として見ることが出来たことです。天然の食物を体に取り入れることで「地球のエネルギーが体内で燃える」この気持ちよさが、なんだか無性にやる気を湧かせます。
(Mindbody Fitness情報誌執筆原稿)
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クチナシの花の香りでお鼻チェック!
アロマコロジー的生活…5
夏だ! 今年は梅雨入りも例年に比べ少し早く台風も早々とやってきています。一年中で最も香りの強く感じるのが、梅雨時期の「クチナシ」と秋の「金木犀」です。特にクチナシは、梅雨時期と重なるため香りが良く立ちます。人の嗅覚は、他の哺乳類と同様海の中から地上へ進出した痕跡が残っており、露出した感覚器官である嗅覚(嗅上皮)や視覚である目(眼球)は、今だに塩水で潤わせています。よく、魚は匂いを分かるのか質問されますが、視覚よりも嗅覚の方が優れている場合が多いようです。鮫が血のにおいをかぎつけて弱った生物を捕らえに来ることでもよく分かります。このように、いまだに人類も海中の生活システムを引きずっているのですね。ま、進化の途中なんでしょう。地上に進出してからは、嗅覚よりも視覚が発達し、次第に嗅覚が衰え始めたのです。昨今、嗅覚障害や嗅覚能力の低下が叫ばれていますが、どうやらこのまま行くと視覚偏重の人体になってしまうかも知れないような危機すら感じますが、折からの「香りブーム」(だとします)で、天然精油の輸入量も増加の傾向にあり、衰えた嗅覚を取り戻そうとする人類の無意識の意識が、嗅覚の復権を図っているようです。大きく分けると五感の感覚器官の中で唯一、大脳直結の感覚器官である嗅覚は、自律神経にも大きく作用することからも、命にまつわる大切な機能を果たしているのです。嗅覚が衰えると言うことは免疫系が弱くなるということにもつながり、現代のアトピーの増加とも相関関係が大いにありそうです。アロマテラピー関係者や精油のヘビーユーザーにアトピーや花粉症の人が極端に少ないことからも、香りと元気は一体のように思います。鼻の奥が乾くと嗅覚機能が低下しますから、梅雨時期の鼻のコンディションはすこぶるいい状態ですから、花の香りもよく感じるのです。この季節、クチナシの花の側を通った時に一度鼻の具合をチェックしてみましょう。特に40歳以上の男性は要チェックです。こんな風にいつも季節の花の香りを嗅ぐように意識していれば、嗅覚はどんどん敏感になります。これからの季節様々な香りが楽しめます。代表的なものを上げておきますのでぜひ、鼻を花に近づけて見て下さい。これから香りを漂わせる花は、ウンナンオウバイ、キソケイ(アラビアンジャスミン)、月下美人、ゴマ、ジャスミン、すずらん、タイサンボク、蓮の花、ノイバラ、ハマナス、ヒソップ、ヒャクニチソウ、ヘリオトロープ、朴の木の花、みかんの花、ゆり、蘭、ラベンダーなどのハーブ類です。花によっては、遠くまで香るものや、夜だけ香るものもありますので、注意が必要です。もし、採取できる花があれば、水盤に浮かべておくのも涼感があっていいものです。クチナシの水盤に柑橘系の香り(オレンジ、レモン、グレープフルーツ、ベルガモットなどの精油)を数滴落とすと、クチナシの甘い香りが引き締まってとってもおしゃれな香りになります。一度おためし下さい。
(Mindbody Fitness情報誌執筆原稿)
リラクゼーションのモデル
アロマコロジー的生活…6
さまざまなセミナーが行われていますが、衰退の激しい新規講座はとして、アロマテラピーが数年前から、ヒットの兆しを見せていましたが、最近のセミナー依頼のテーマは、「癒し」か「ヒーリング」絡みが多くなってきています。少し前(昨年辺り)なら、アロマテラピーだけで充分喜んでいただけたのに、もはやアロマテラピーは癒しのツールとして定着したように実感しています。東京周辺のアロマテラピー関連のセミナーやスクールも昨年がピークで今年は、やや現象ぎみ。関西では今年が当たり年のはずなのですが、実際にはセミナー主催者の声は、香りから癒しへと移行しているようです。単純に見ると、香りブームがすぎて、癒しブームになってきているのでしょう。
いずれにしても、哺乳類である「人」は、コンクリートジャングルに生息していると。息がつまるし、
充分、運動できていないので肩も凝る。しかも、まだまだ骨格的には発展途上にある2本足歩行に充分対応した足腰が獲得できたとは、思えない。肉体的に随分ストレスを持っているもんだから、当然精神的にもストレスがたまっている。それに、加えてなんといっても、時代の価値観が大きく変わろうとしていることが、一層拍車をかけて人々の精神面にも負荷をかける。「ストレス社会」と呼ばれるのは、過去人類の歴史のなかでどれほどあったのだろうか、あったとすれば世紀の変わり目、たとえば19世紀後期の「産業革命」の頃もけっこう「ストレス社会」だったのかも知れませんね。香りの歴史でもすでにローマ時代には、精油のマッサージを一般の人も受けていたのですから、ローマ人も腰痛が話題になっていたのかもしれませんね。
現代は、産業経済構造や、人生観、教育感などにも行き詰まり感があり、「この先どないしたらええねん」状態が続き、日々の生活に追われてついついストレス解消をお金で処理しようとするきらいがあります。週刊誌に「○○○で癒そう」とか「癒しのグッズ○○」「癒しの旅ガイド」といった、癒しにまつわる記事が、最近急速に増えてきています。一般的な言葉として、もはや癒しは現代のテーマといっても過言ではないでしょう。
そこで、この春に甲南女子大学の上田教授のもとで、「ヒーリング」をテーマにワークショップを任され、「癒す」ことを掘り下げて発表した内容を大筋紹介します。
●癒しのモデル(Healing Model ) PeppermintStudio1997
息:呼吸(深い呼吸で酸素を供給)
心:知覚の解放(頭のリセット、空っぽにする)
体:五感感覚のすべてを満たす(視聴味嗅触の五感を満満足させる)
気:リンパ、循環器、気など流れを是正(エネルギーの代謝を促進)
以上の4つの要素が満たされたときに「リラクゼーション」は訪れるという解釈です。アロマテラピーでリラクゼーションが訪れるとか、音楽療法だ、瞑想だ、なんて決して単品の特効薬なんてないのですね。
ま、時代が変わるまでストレスを楽しむ方法を考えるほうが面白いかも。
(Mindbody Fitness情報誌執筆原稿)
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男女で異なる香りの捉え方
アロマコロジー的生活…7
セミナー講師として呼ばれるのは、女性対象のものがほとんどだったのが、最近立て続けに男性対象の「香りの講座」を行ったので、そのあたりで思ったことをお話しします。
講演タイトルは「できる男は鼻が効く」「嗅覚のふしぎ考現学…美味しいものは、鼻で味わっている」といった具合。女性向けの内容といえば、より実践的な「アロマテラピー」や「リラクゼーション」ですが、男性は、仕事のヒントとしての内容を望まれるようです。
依頼テーマからすでに男性と女性のニーズの違いがあります。ほんとは、男性にもアロマテラピーやリラクゼーションの方法を伝えて、体も心も柔らかくして欲しいのですが、どうもそういうニーズは少ないようです。
同じ香りの基本的な話をするにしても、男性は、体(嗅覚)のメカニズムと匂い成分の関係について興味を持たれ、香りでリラクゼーションに役立てようという方は比較的少ないようです。もっとも、40才を過ぎた男性で嗅覚が敏感な人が少ないことも要因ですが、体をほぐすことに対して情熱がないのは何故なんでしょうね。
女性が体のバランスやコンディションを整えることに男性よりも労力を注ぐのは、体そのものが子供を誕生させる大切な器官を備えているから、おのずと体調には気づかうのでしょうか。人を哺乳類として見ると、子孫を残すという最大の実績行為に関して雄の体は、繁殖に関して一時的な働きと食餌の供給、巣作りが主な役割です。
大半は食餌の供給にエネルギーが注がれるわけで、雌は受胎後長きにわたって胎児を育み出産後も、体調を崩さずに育児を行う為に絶対的な体調管理が必要だから…なのでしょうか。それとも、女性は調理する機会や化粧品を使う機会が多いので香りとの関係が自然に確立されているので、香りに対して興味を持っているのかもしれません。
一方、他の動物や昆虫を見ると逆に、雄の方も嗅覚を使う機会がとても多いのです。たとえば、雌の蝶は何キロもの広さにフェロモン臭を漂わせて雄を誘いますし、猿も、猫も、犬も互いに嗅覚を使わずには雌とカップルになれないのです。
一般的に嗅覚が働かなければ性欲は減退するといわれているのですが、最近の男性の嗅覚能力減退と無精子症、もしくはセックスレス現象は、自然界の摂理による人口増加の繁殖抑制作用と考えるのは、少々オーバーかもしれませんが、なんだかそれに近いような気がしてなりません。再び、男性の嗅覚が敏感になった時、人の繁殖行動は、頻繁になるのでしょうか…。
なんだか、極論めいた表現になってしまいましたが、時代の変わり目の昨今、男性よりも女性の方が、時代の先行きに関しては、鋭い感性で捉えている方が多いようです。昔から鼻が効く人は「感覚がいい」「先見の明がある」などといわれていますが、現代女性の嗅覚の鋭さとオーバーラップするようです。
時代の変わり目の身の対処は、とっさの判断を司る旧皮質、動物脳(脳幹)で同じように処理されているのではないかと思ってしまいます。とりあえず未来を捉える為に鼻を磨き、アンテナを鋭くしておきましょう。
(Mindbody Fitness情報誌執筆原稿)
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人は、両生類以前の環境を引きずっている
アロマコロジー的生活…8
夏の終わりに、「アフターサマーフェイシャル&ボディケア」というアロマテラピーで肌をケアする方法を紹介するセミナーを行ないました。2つのナチュラルスキンケアクリーム作りの他に「顔の肌を守る五箇条」というテーマで話した内容がおもしろかったので、その部分を報告させていただきます。
以前より、地球上の生物で化粧をしたり、スキンケアをする種は「人」だけだということが妙にひっかかっていました。猫が顔を洗ったり、鳥が水浴びをしたりすることはよくありますが、肌あれに困っていたり、保質クリームがなければ肌が乾燥してならない、顔の筋肉がこっているといった症状を訴える生物はほとんどいません。なぜ人だけ、スキンケアが必要なのか仮説を立ててみました。
地球上の生物の起源は、海中で始まったとされています。現在よりもクラスターの細かく、水そのものに力を秘めた、いわゆる「原始水」の中で微生物が太陽のエネルギーを受けて生命体が発生し、その後海中での長い進化の後に、両生類となり生物の地上進出とされているわけです。
さまざまな生物の進化の後に「人」が発生したのです。いわば地球上の新参物なわけです。新参物の多くは先人達の功績を踏みにじる傾向があるのも例外に洩れず人も大手を振って「地球上最高級のいきもの」としているのですが、なかなかそうは問屋が降ろしてくれるはずがありません。
先人達(先動物達)は、絶妙な進化を遂げ、種内の見にくい争いやいざこざもなく、巨万の富を一人抱えることなく素敵な地球生活を送っています。人はまだまだ進化の途中。人のDNA(細胞核の中に1.5m位の長さで存在)のなかには尻尾(しっぽ)のプログラムが現在も存在しているらしく、必要ならばいつでも尻尾が生えて来るそうです。
人の進化はまだ始まったばかりなのかもしれません。2本足歩行には対応しきれていない腰骨や、すぐに乾燥する皮膚、暑さや寒さに対しても強いとは言えません。と、云うような前提の元に人の顔の肌をケアする方法と、海中生物を比較してみました。
◎人は、両生類時代以前の海中生活環境を引きずって生息している。
(地上生活を始めた人のフェイスケア)(海中生活を送っている生物のフェイスケア!?)
1.保湿をこまめにする = 常に水に濡れている
2.紫外線に当たらないようにする= 海中なので紫外線の影響は少ない
3.酸化した化粧品は使用しない = 海水は塩分により腐敗菌が繁殖しにくい
4.老廃物の除去をする = 常に水流により老廃物が洗い流されている
5.血流促進をする = 水圧によるマッサージ効果がある
以上のように、見事に地上生活を始めたばかり(進化の歴史から見ると)の「人」にとっては、海中生活していた当時の環境を地上でも再現していると思えてならない。特に、露出している感覚器官である、鼻の嗅上皮や眼球は塩水で覆われていることからも、まだまだ海中生活の環境を引きずって生活していることが明らかになります。あくまでも憶測の領域ですが、なんとなく納得できませんか?
人がまだまだ進化途上の生き物であると云うことを念頭に置き、謙虚に他の生物に学ぶことが今の時代大切ではないでしょうか。「温故知新」未来への手がかりは過去にあるものなんですね。
(Mindbody Fitness情報誌執筆原稿)
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体力から知力、そして直観力の時代へシフトし始めた
アロマコロジー的生活…9
香りに興味を持った理由は、インテリアプランナーとして「心地の良い環境デザインを達成するためには、どうすればいいのか」をテーマにさまざまなデザインを考えてきましたが、行き着くところ「香り」を含めた五感のデザインだったわけです。
目の見えない人にとっては、装飾的なデザインや視覚的豪華さは何ら役にたたず、場合によってはかえって都合が悪くなる事さえ起きます。しかし「香りのサイン」(案内看板)等による誘導や、危険エリアを知らせる手段として香りを使う事は、とても有効だとわかりました。その事をきっかけに、香りだけでなく嗅覚の奥深い機能と哺乳類としての嗅覚の進化の壮大さに、なかばとりつかれるようにこの10数年送ってきました。
耳や目よりも何故鼻が口のそばにあるのか、どうして鼻の穴が2つあるのか、少年のときからの疑問でした。魚類がとても鼻が効く事や人の鼻の奥が塩分を含有した水分で覆われている事、寝ていても鼻が起きている事など鼻の特殊な機能は先祖である両生類時代からの名残であるなど、原始的な感覚器官として現代でも人の命を守る為の要である事に気づいた時に、嗅覚を含めた五感全体のデザインやケアの必要性が21世紀に向けての課題であると固く信じたのです。
折しも、ハーバード大学の教育学部の21世紀の学校教育のテーマは「知育教育から五感教育へ」と言われています。脳を知識のデータベースとして使用するのではなく、脳を感覚の受容器つまり、自然界や人、宇宙とうまくリンクできるようにするアンテナとしての役割が大きく求められてくる時代という解釈もできます。
脳の位置が人体のてっぺんにあるのも納得できます。これまでは、物事を言語におきかえて解釈する前・側頭葉中心(新皮質)の思考方法が主流でしたが、これからは脳幹(旧皮質)をも含めた思考感覚が必要になってきます。
産業が高度に成熟した20世紀から21世紀に向けて、新たなシステムが必要になりつつあります。20世紀の社会通念がすでに一部で崩壊し始め出しています。日本では2度目の結婚なんて珍しくなりましたが、これが10年程前だとどうでしょうか、国内における昨年の離婚数と婚姻届の件数はどちらも過去最高だそうです。ドイツでは4度目5度目の結婚が珍しくなくなって来ていると言われています。結婚という概念とシステムが、確実に変化し始めているのです。
一説に、現代の人の大脳の体積は減少傾向にあると言われていますが、農業社会が3000年で成熟した後、産業社会は300年で成熟しました。産業社会はいわゆるホワイトカラー社会とも言われ、力よりも知恵が優先されました。農業社会では人の体は今よりもっと逞しく、産業社会では逆に肉体的な強さよりも大脳の働きが尊ばれ、大脳に大容量が必要とされ、大きな頭が必要だったのかもしれません。
これからは、容量よりも質量の時代。小型で良く動く脳が必要なのかもしれません。振り返ると、農業社会は体力優先の時代、産業社会は知力優先の時代。これからは、直感力億優先の時代になるのでは? 鼻の能力を高めておく事(脳肝が鍛えられる)はまんざら無駄ではないような気がします。
(Mindbody Fitness情報誌執筆原稿)
香りコミュニケーションは、言葉を越える!?
アロマコロジー的生活…10
どうして花は香るのでしょうかって聞くと、ほとんどの人は「虫媒の為」つまり、香りによって虫を引き寄せる為と。じゃ、人や動物に匂いがあるのは何故?
「へーっ、考えてみたことナーい」。「香りって一体何なんだろう」と考え始めてからずいぶん経ちましたが、まだまだ分からないことがたくさんあります。
花の香りにいろいろな種類があるのは、それぞれ好みの虫がいて特定の花に集中しないようになっているのでしょうか? それとも、香りそのものに何かメッセージのようなものがあるのかも…。夜だけ香りが立つ「夜来香」や「月下美人」は、夜間活動する虫にアピールしているのでしょうか? それとも、昼間よりも夜の方が効率がいいからなんでしょうか?
虫にとっての香りは、花の存在をいち早く認識するためにとても都合のいい情報源なのです。花対虫だけでなく、植物同士も香りでコミュニケーションしています。ある植物が、虫に葉を食べられると、葉から特殊な成分が発生し辺りの植物へ「噛まれるぞ」という香りの情報が流れます。
その香りを感知した植物は葉から、虫が不調になる成分を分泌し、防衛するのです。まるで、香りが情報となって行き来しているかのようです。つまり生物のコミュニケーションは、言葉だけでないのですね。
鼻は命にかかわる情報を常にチェック
アロマコロジー的生活…11
特に、人の嗅覚(鼻)は、大脳の中でも本能を司るといわれている旧皮質(別名動物脳)に鼻からダイレクトにつながれて、人が生まれてから死ぬまで全く休むことなく処理が行われつづけています。
視覚(目)は、寝ているとき休みますが鼻は命を守るためにフルタイムで働いているのです。しかも人体に影響力を及ぼす食品の取り入れ口である「口」の上に位置する場所に鼻は存在し、口へ食べ物を入れるときには、すかさずチェックを欠かさないのです。
ある食品を食べてお腹をこわしたりすると、その匂いを覚えていて次にその匂いを感じたときに拒絶するように脳から命令が出るのです。腐ったミルクや豆腐などの匂いも生涯忘れることなく記憶されたり、ガスやきな臭い匂いや異臭を感じると夜中でも目覚めるよう鼻が起きているのです。
目や耳から入った情報などは、どんどん忘れるケースが多いようですが、鼻は命にかかわる重要な役割を担っているので「命の守り神」とも言えるのではないでしょうか。
アロマテラピーは植物とのコミュニケーション
アロマコロジー的生活…12
最近話題のアロマテラピーは、長い歴史のなかで植物と人との関係の中で育まれた財産です。しかし近年、嗅覚障害児の増加や嗅覚力の低下など鼻が弱くなってきている傾向にあります。
よく感覚の良い人のことを「あの人は嗅覚が鋭い」とか「鼻が利く」といった表現がありますが、鼻がいいと言うことは第六感や直感力が冴えているという意味も含んでいるようです。その背景には、生活環境の悪化や、自然の良い香りが少なくなってきたことも関係しているようです。
植物の香りから良いエネルギーを受けるためにもインターフェース(橋渡し)でもある鼻を感度良くしておくことが大切です。幸い鼻は鍛えればどんどん良くなって行く感覚器官ですから今日からでも、良い鼻づくりを目指してみませんか。
季節ごとの香りに触れる
アロマコロジー的生活…13
良い鼻づくりの基本は、なんといっても自然界の香りに触れることです。季節ごとにさまざまな香りを放つ植物がありますので、気をつけて探して見ませんか。
これからの季節、みかんの花、はまなす、ラベンダー、菩提樹、泰山木、ゆり、きんぎょそう、すずらん、蘭、くちなし、月香美人、夜来香、りょうぶ、もっこく、ばらなど。花を目と鼻でみる香りの観光を「観香旅行」とでも言って体とハートに優しく働きかけるいい香りを楽しみながら、鼻を元気にしてあげましょう。
好きな香りを探したり、お気に入りの季節の散歩道をつくるなど楽しみを広げて行きましょう。お返しに、植物をいたわってあげましょう。そうするで、香りに対する感度も益々高まり、やがては自然界の言葉がハートで聞き取れるようになれるかも知れませんね。
「美味しいものは存在するのだろうか」
2019-07-28
アロマコロジー的生活…最終回
「おいしい」「良い香り」「うつくしい」「きもちいい」は、命の感触
人が一番心地よく感じる音や温度、味覚などはすべて「気持ちいい」とか「おいしい」などという言葉で表現されます。しかし、「美味しい食べ物」も多く食べると次第にその食べ物は「美味しくない」食べ物に変化します。
そこには、「美味しいもの」っていう物質は存在しないのです。この世に「美味しいものは存在しない」ということも言えるわけです。「美味しい」の構造を掘り下げてみましょう。特に「味」とはどういうことか調べると「味」の文字は、「口」と「未」の文字の組み合わせ。「口が未だにしたことがない」というようにも解釈できます。口が未だにしたことのないことが「味」なわけです。よく、レストランや居酒屋に行くと他の人が食べているものが欲しくなる衝動ってありますよね。
人が食べているものが無性に欲しくなるとか、今口にしているものよりも他人が食べているものの方が、断然美味しそうに見える現象。味って口にしてしてしまえば、なれてしまう、とてもはかない部分があります。大げさに考えると、生命力の源なのかも知れませんね。
体が特定の栄養素やエネルギー物質を欲しがっている間は、それらを美味しく感じ欲しくなる。しかし、いったん必要分が摂取されると、摂取欲求のスイッチが切れ「まずい」のサインが脳から出される仕組み。これは、動物に共通する機能で、必要分のみ摂取することで、地球の環境も保たれている。唯一、人だけがこのサインの機能が産業社会になってからどうもおかしくなってきているようだ。
摂取コントロールする機能が正常に働かなくなってから、肥満や拒食症など起こり始めているのではないでしょうか。それに大量の食品が破棄されたり、生産過剰になった農作物を価格安定のために破棄されたり、どうもこの辺りの食物に対する価値観が本来の動物生活とは大きくかけ離れている。その結果、環境危機、成人病の増加…。
美味しい、気持ちいいという感覚には人が2本足で歩く以前からの生物の記憶(遺伝子)が大きく関わっています。好む好まないにかかわらず、体は気持ちよく生きる術を知っているのです。体の言葉を聞くにはどうすればいいのでしょうか。
様々な方法がありますが、そのひとつが、ヒーリングではないでしょうか。体を癒すと行為は、体と心が仲良くコミュニケーションできること事なんでしょうね。体の言い分、心の言い分。人体にはこの2つがどうも派閥争いしているようだ。
さまざまな食の理論がありますが、理屈や知識で食事をするんじゃなくて、体の感覚で食事をする。体と心が仲良くやっていたら、体が望むものさえ口へ運んであげると肥満も、拒食もなくなるんじゃないかな。なんて。「人の知識なんて、わずか数十年。体の遺伝子の歴史は数十億年」知識に頼らず、体に頼ろうよ。ね、今年こそは…と毎年言ってたりして。
(Mindbody Fitness情報誌執筆原稿)